東証一部上場企業のIR意識の欠如
このところ東証一部上場企業が多すぎるという議論が多い。
私が感じることは、1990年代からベンチャー企業の多くがIPOを目指し、「IPOゴール」を目標として、上場後の経営がうまく続かないことが多かった。
この数年は、IPOをした後、いかに早く東証一部に上場するかという、「東証一部ゴール」の企業が急増してきた。
マザーズに上場する際は、実質基準や形式基準等の数々の審査を乗り越えて上場してきた企業は、
いち早く東証一部上場したほうが、実質基準で審査を終えたばかりなので、数値が中心の形式基準をクリアすればいいので早く東証一部に上場しやすい。
東京証券取引所も、他市場に上場するよりマザーズに上場したほうが東証一部に早く上場できることを推進営業していた。
私は1980年代の英国のビッグバン時代にロンドン証券取引所と仕事をしていたが、当時から日本に上場している企業が多く、それが日本の誇りだと思っていた。
しかしながら、米国でも英国でも日本でも、経済成長やGDPに比例して優良企業も増えるし、また逆もそうだ。
上場基準の上げ下げだけで上場企業数が変わり、企業数をベースに比較するのはおかしい。
東証一部上場したからには、それがゴールではなく、ある程度の出来高、時価総額が多くないと東証一部上場でも海外機関投資家は売買の対象としない。
株主、出来高を視野に入れたIR活動を行い、自社の事業の発展に応じたディスクローズを推進し、時価総額を重要視した経営をしないと東証一部にステータスが廃る。
ぜひ、目標を持ったIR活動を東証一部上場企業に行ってほしい。