実質株主判明調査の行方

経済産業省などで実質株主の開示について議論されている。

機関投資家が銘柄を選択して投資をしているのに、株主名簿上は機関投資家名ではなく信託銀行になっている。株主総会には株主名簿上の信託銀行は出席せず、議決権行使もしないこともある。昨今では、スチュワードシップコードやコーポレートガバナンスコードに則り、機関投資家と上場企業との対話は進んでいるのに株主総会に参加しようとすると、総会会場で株主名簿上にない株主なので、株主名簿上の株主のみ総会に参加することができると決めている定款の場合は排除せざるを得ない。

現状、大量保有報告制度を除き、実質株主の情報開示制度が存在しない。

上場企業やその他の第三者が、議決権指図権限や投資権限を有する者、つまり実質株主について把握する制度もなく、把握しても実質株主が株主総会には定款上は参加できないケースがある。

議決権行使については信託銀行と実質株主間で協議が行われ解消されつつあるようだが、ノミニー名義の株主名簿と実質株主が一致せず、実質株主は調査して判明しないといけない。外注先への費用もかかり時間も結構かかる。

このような実務上の問題で上場企業が費用や時間をかけるのはもったいない。議決権行使ができる株主名簿制度を確立して、株主との対話や議案の内容に対する議論をよりスムーズにしてほしい。